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ドラクエらんど

第20章 武器屋の娘

「ここに伝説の武器はあるか」



低い男の声がする。
伝説の武器って、古くから伝わるっていう伝説の武器のことよね?



「すみません、うちにはないと思います」

「じゃあ、あれはなんだ」



黒装束を纏った男は私の後ろを指差す。
カウンターの奥の部屋にはお父様の仕事場があった。



「あの壁に飾ってある剣…」



奥の部屋の壁には剣の形をした竹の棒が飾ってある。ただ竹を尖らせた槍とはまた違う造りのものだけど…



「あれは、ただの竹の棒ですよ?」



あんなのが伝説の武器ではないことぐらい私にもわかる。
でもなぜかお父様は大切に保管してるのよね。



「少し見せてくれないか」



ええっ?
伝説の武器じゃないかって疑ってるの?



「まあ、いいですけど…」



私は首を傾げながら、奥の部屋に入った。
そして竹の棒を手に取った。軽い。
しかも握った瞬間、とてつもなく懐かしい気持ちになり、何かを思い出しそうになった。



「おい、まだか」



黒装束の男の呼びかけでハッとした。
なんだかよくわからないけれど、この竹の棒は絶対に他人に触れさせたくないと思った。



「あの…やっぱりこれはただの竹ですよ。伝説の武器ではありません」



私は竹の棒を元に戻そうとした。


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