
20年 あなたと歩いた時間
第11章 手探りの日々
なんだ。そういうことか。
そうだろうとは思ってたけど。
あいつがいなくなってからの時間
イコール僕の年齢、だけど母さんは
未だにあいつのことが好きみたいだ。
母さんには何でも聞けるけど
ひとつだけ聞けないことがある。
それは。
もう二度と会えない人を思うって
どんな気持ちなのか、ってことだ。
僕のまわりには、大切な人を亡くした人が
結構いる。
じいちゃんはばあちゃんを
母さんは父さんを
要は真緒を。
みんな普通にしてるけど
どんな気持ちなんだろう。
「えーっ!まさか、これ、川辺っち?!」
今年の教科ごとの担当教官一覧表を見て
母さんが声をあげて驚いている。
「川辺っちってね、ほら、この数学の先生。お母さんの高校時代の!絶対そうだよ。うわーなつかしい!学校変わったんだ」
「え、川辺?それ今年の担任だよ」
「本当?じゃあ三者面談とかで顔合わせるかな?もうー、広輝、落ちこぼれないでよ?」
「はいはい。ねえ、そろそろ出てもらっていいかな?落ちこぼれないように、勉強するから」
僕は、放っておいたらいつまでも
ひとりで喋り続ける母さんを追い出した。
担任の川辺先生には
今日早速母さんのことを言われた。
とても懐かしがって
なかなか解放してくれなかった。
帰り際、言いにくそうに
でもハッキリと川辺先生は言った。
お父さんに似ているんだな、と。
…やっぱりひとりが落ち着く。
川辺先生に、早く進路を決めるよう
急かされた。
一応、国公立理系クラスになったけど
理系はさらに医学部かその他の理系かで
受験対策の選択授業が変わってくる。
あいつと同じ大学を受けたいけれど
結構なレベルだ。
それなりに真剣に勉強しなければいけない。
医者か。
そもそも何で医者になりたかったんだろ?
身内では陽子叔母さんが医者ではあるけど
そんなに交流はなかったはずだ。
影響を受けるには、少し弱い気もする。
母さんに聞いたところによると、
『食いっぱぐれのなさそうな職業』
に就くため、とか何とか言ってたけど
そんな理由で医者目指すかな?
もうひとつ、チョコレートを口に入れた。
箱の裏側を見ると、その住所に
小六まで住んでいた街を思い出した。
そうだろうとは思ってたけど。
あいつがいなくなってからの時間
イコール僕の年齢、だけど母さんは
未だにあいつのことが好きみたいだ。
母さんには何でも聞けるけど
ひとつだけ聞けないことがある。
それは。
もう二度と会えない人を思うって
どんな気持ちなのか、ってことだ。
僕のまわりには、大切な人を亡くした人が
結構いる。
じいちゃんはばあちゃんを
母さんは父さんを
要は真緒を。
みんな普通にしてるけど
どんな気持ちなんだろう。
「えーっ!まさか、これ、川辺っち?!」
今年の教科ごとの担当教官一覧表を見て
母さんが声をあげて驚いている。
「川辺っちってね、ほら、この数学の先生。お母さんの高校時代の!絶対そうだよ。うわーなつかしい!学校変わったんだ」
「え、川辺?それ今年の担任だよ」
「本当?じゃあ三者面談とかで顔合わせるかな?もうー、広輝、落ちこぼれないでよ?」
「はいはい。ねえ、そろそろ出てもらっていいかな?落ちこぼれないように、勉強するから」
僕は、放っておいたらいつまでも
ひとりで喋り続ける母さんを追い出した。
担任の川辺先生には
今日早速母さんのことを言われた。
とても懐かしがって
なかなか解放してくれなかった。
帰り際、言いにくそうに
でもハッキリと川辺先生は言った。
お父さんに似ているんだな、と。
…やっぱりひとりが落ち着く。
川辺先生に、早く進路を決めるよう
急かされた。
一応、国公立理系クラスになったけど
理系はさらに医学部かその他の理系かで
受験対策の選択授業が変わってくる。
あいつと同じ大学を受けたいけれど
結構なレベルだ。
それなりに真剣に勉強しなければいけない。
医者か。
そもそも何で医者になりたかったんだろ?
身内では陽子叔母さんが医者ではあるけど
そんなに交流はなかったはずだ。
影響を受けるには、少し弱い気もする。
母さんに聞いたところによると、
『食いっぱぐれのなさそうな職業』
に就くため、とか何とか言ってたけど
そんな理由で医者目指すかな?
もうひとつ、チョコレートを口に入れた。
箱の裏側を見ると、その住所に
小六まで住んでいた街を思い出した。
