
20年 あなたと歩いた時間
第1章 14歳
「真緒ー!模試お疲れさまー!」
要の自転車に二人乗りで、
真緒を塾まで迎えに来た。
私は下から二階の窓に向かって
叫んでみた。すると、面倒くさそうな
表情で、真緒が顔を出した。
「何で二人して迎えに来てんのよ?宿題行き詰まった?」
真緒が見透かしたように言う。
今日の真緒は伸ばした髪を頭のてっぺんで
おだんごにまとめている。
すっきり出したおでこもかわいい。
「あー…まあね。でも大丈夫!アイス食べに行こうよ!」
真緒は
二階の教室から出てくる気配がない。
窓際の席に座ったまま、
ちらちらと隣を気にしている。
「ごめん!もうちょっと自習していくから、要と二人で行って?」
「あ、そうなんだ。うん。じゃあねー!」
そう言うと真緒は教室の奥に
移動したのか、姿が見えなくなった。
「行こうぜ、のぞみ」
「うん…」
要は後ろに乗っている私を
振り返りもせずにいきなりスピードを
出した。その勢いで私は自転車から
振り落とされそうになり、
あわてて後ろの荷台から飛び降りた。
「もうっ!危ないなあ。なんでいきなりスピード出すの?」
飛び降りたはずみで、
持っていたかばんの中身を道路に
ぶちまけてしまった。
英語の教科書や、数学の問題集が
バサバサっと散らばった。
「あーあ。最悪ー」
そう言いながら、しゃがんで
拾い集めていると、頭の上から
要の不機嫌そうな声が降ってきた。
「あれ、三年の堀川だよ。真緒の隣にいたやつ。見ただろ?」
「え?」
要は自転車にまたがったまま、
ハンドルに突っ伏して言った。
「堀川先輩?それがどうしたの?」
堀川先輩はこの夏休み前まで
バスケ部のキャプテンをしていた。
きりっとした顔立ちで、
成績もよくて学校中の女子が
『堀川様』と呼ぶ人気者だ。
性格は少々俺様キャラなところが
あるらしいけど、それを差っ引いても
モテモテだ。
「…のぞみからは見えなかったかもな。あいつ、少し前から真緒とよく一緒にいるんだ」
真緒が堀川先輩と…?
要は顔を上げてまっすぐ前を見ていた。
私は何も言わず、また荷台に座った。
アイスクリーム屋に着くまで要は
無言で、着いても何も言わず
さっさと店内に入っていった。
要の自転車に二人乗りで、
真緒を塾まで迎えに来た。
私は下から二階の窓に向かって
叫んでみた。すると、面倒くさそうな
表情で、真緒が顔を出した。
「何で二人して迎えに来てんのよ?宿題行き詰まった?」
真緒が見透かしたように言う。
今日の真緒は伸ばした髪を頭のてっぺんで
おだんごにまとめている。
すっきり出したおでこもかわいい。
「あー…まあね。でも大丈夫!アイス食べに行こうよ!」
真緒は
二階の教室から出てくる気配がない。
窓際の席に座ったまま、
ちらちらと隣を気にしている。
「ごめん!もうちょっと自習していくから、要と二人で行って?」
「あ、そうなんだ。うん。じゃあねー!」
そう言うと真緒は教室の奥に
移動したのか、姿が見えなくなった。
「行こうぜ、のぞみ」
「うん…」
要は後ろに乗っている私を
振り返りもせずにいきなりスピードを
出した。その勢いで私は自転車から
振り落とされそうになり、
あわてて後ろの荷台から飛び降りた。
「もうっ!危ないなあ。なんでいきなりスピード出すの?」
飛び降りたはずみで、
持っていたかばんの中身を道路に
ぶちまけてしまった。
英語の教科書や、数学の問題集が
バサバサっと散らばった。
「あーあ。最悪ー」
そう言いながら、しゃがんで
拾い集めていると、頭の上から
要の不機嫌そうな声が降ってきた。
「あれ、三年の堀川だよ。真緒の隣にいたやつ。見ただろ?」
「え?」
要は自転車にまたがったまま、
ハンドルに突っ伏して言った。
「堀川先輩?それがどうしたの?」
堀川先輩はこの夏休み前まで
バスケ部のキャプテンをしていた。
きりっとした顔立ちで、
成績もよくて学校中の女子が
『堀川様』と呼ぶ人気者だ。
性格は少々俺様キャラなところが
あるらしいけど、それを差っ引いても
モテモテだ。
「…のぞみからは見えなかったかもな。あいつ、少し前から真緒とよく一緒にいるんだ」
真緒が堀川先輩と…?
要は顔を上げてまっすぐ前を見ていた。
私は何も言わず、また荷台に座った。
アイスクリーム屋に着くまで要は
無言で、着いても何も言わず
さっさと店内に入っていった。
