
20年 あなたと歩いた時間
第11章 手探りの日々
「僕が知っているのは、そこまでだ」
先生は立ち上がり、空を見上げた。
「あの震災で犠牲になった教え子は、彼と加納真緒の二人だ」
僕は何も言えなかった。
「真島、再生医学って知ってるだろ」
臓器の培養とか、多能性幹細胞とかの話だ。
「流星はそれを勉強したかったんだ」
「再生医学…」
「流星が通った大学に、その権威と言われる教授がいた。知ってるだろう?十河教授だ」
つい最近、近いうちにノーベル賞候補に
上がるだろうと新聞やニュースを賑わせた
人物だ。
「なぜ、再生医学を勉強しようとしていたかは、先生の口から言っていいかどうかわからない」
ただ、と言って先生はもう一度僕の隣に
座った。
「守りたい人がいたから、とだけ言っておく」
知ってる。
それが母さんと、まだ見ぬ僕だったこと。
だから。
だから、母さんが要といることが
許せないんだ。
「あ。そうだ。真島、おまえ」
「はい」
「この学校の入学時の試験、満点だったんだってな」
「…はい」
「しかも中等部の時はずっと、成績、一位だったんだってな」
「…一応」
「本当は決めてるんだろ、進路」
先生は僕の肩に手を載せて、弁当食おっかな
と言って校舎に向かって歩き出した。
「先生っ!」
先生は背中を向けたまま、片手をあげて、
続きは放課後にしてくれと言った。
…勝手だな。
けど僕は、今までにないくらい脳ミソから
アドレナリンが放出されるのを感じた。
…決めた。
先生は立ち上がり、空を見上げた。
「あの震災で犠牲になった教え子は、彼と加納真緒の二人だ」
僕は何も言えなかった。
「真島、再生医学って知ってるだろ」
臓器の培養とか、多能性幹細胞とかの話だ。
「流星はそれを勉強したかったんだ」
「再生医学…」
「流星が通った大学に、その権威と言われる教授がいた。知ってるだろう?十河教授だ」
つい最近、近いうちにノーベル賞候補に
上がるだろうと新聞やニュースを賑わせた
人物だ。
「なぜ、再生医学を勉強しようとしていたかは、先生の口から言っていいかどうかわからない」
ただ、と言って先生はもう一度僕の隣に
座った。
「守りたい人がいたから、とだけ言っておく」
知ってる。
それが母さんと、まだ見ぬ僕だったこと。
だから。
だから、母さんが要といることが
許せないんだ。
「あ。そうだ。真島、おまえ」
「はい」
「この学校の入学時の試験、満点だったんだってな」
「…はい」
「しかも中等部の時はずっと、成績、一位だったんだってな」
「…一応」
「本当は決めてるんだろ、進路」
先生は僕の肩に手を載せて、弁当食おっかな
と言って校舎に向かって歩き出した。
「先生っ!」
先生は背中を向けたまま、片手をあげて、
続きは放課後にしてくれと言った。
…勝手だな。
けど僕は、今までにないくらい脳ミソから
アドレナリンが放出されるのを感じた。
…決めた。
