
20年 あなたと歩いた時間
第12章 君が生きた日々
昼休み、僕は噂を確かめるために、
同じ理数科で隣のクラスの井田を呼び出した。
「小野塚。誰か探してんの?」
「おまえだよ」
井田とはあまり親しくないし、共通の友達も
いない。どうしてあんな噂を流しているのか
不思議だった。
今日は朝から紺野は学校に来ていない。
僕は午前中、ずっともモヤモヤしていた。
「…紺野のこと、何なんだよ。説明して」
「何のこと?」
「しょうもない噂流してんだろ、おまえ」
「紺野が否定しなかったんだよ」
「え?」
「紺野に聞いてみろよ。じゃあな」
なんだ?紺野が否定しなかったって。
僕は紺野に触れたことすらない。
何が何だかわからなかった。
モヤモヤしたまま教室に戻ると、
紺野が来ていた。
「あ、小野塚くん。午前中のノート見せてもらえるかな?」
何も知らない紺野がいつもの調子で言う。
何だか無性に腹が立った。
だからと言ってここで質すのも、違う。
「悪い、今日午前中寝てたから」
僕は椅子に掛けていた制服のジャケットに
袖を通しながら言った。
「ウソ!そんなわけないじゃん。意地悪だなー、ホント…」
紺野が僕の肩を軽く叩いた。
「触んなよ!」
思いの外、大きな声が出た。
昼休みで、教室にはそんなに人数が
いなかったけれど、一瞬まわりが静かに
なった。
「ごめん」
紺野は固まったまま、理解できずにいた。
僕は黙って教室を出た。
…面倒くさい。
大人と子どもの間って、面倒くさい。
誰かとどうこうなるとか、ならないとか。
自分も昨日まで、あれほどのぞみのことで
ウジウジ悩んでいたのにそんなことは
棚にあげていた。
僕らは違う。僕とのぞみのことは
邪魔しないでほしい。
そんなくだらないことで、
引っ掻き回さないでほしい。
「のぞみ!」
気づいたら、のぞみのクラスに来ていた。
「わ…理数科のコ…ほら、真島さんの」
「やっぱりイケメンだね」
そんな声が聞こえてきた。
どいつもこいつも、うるさい。
「あれ、流星?どうしたの?」
ノートの束を抱えたのぞみが、僕に気づいた。
朝から4時間ぶりに聞く、のぞみの声。
「次の授業、サボろう」
「え?え、ちょっと、流星!」
同じ理数科で隣のクラスの井田を呼び出した。
「小野塚。誰か探してんの?」
「おまえだよ」
井田とはあまり親しくないし、共通の友達も
いない。どうしてあんな噂を流しているのか
不思議だった。
今日は朝から紺野は学校に来ていない。
僕は午前中、ずっともモヤモヤしていた。
「…紺野のこと、何なんだよ。説明して」
「何のこと?」
「しょうもない噂流してんだろ、おまえ」
「紺野が否定しなかったんだよ」
「え?」
「紺野に聞いてみろよ。じゃあな」
なんだ?紺野が否定しなかったって。
僕は紺野に触れたことすらない。
何が何だかわからなかった。
モヤモヤしたまま教室に戻ると、
紺野が来ていた。
「あ、小野塚くん。午前中のノート見せてもらえるかな?」
何も知らない紺野がいつもの調子で言う。
何だか無性に腹が立った。
だからと言ってここで質すのも、違う。
「悪い、今日午前中寝てたから」
僕は椅子に掛けていた制服のジャケットに
袖を通しながら言った。
「ウソ!そんなわけないじゃん。意地悪だなー、ホント…」
紺野が僕の肩を軽く叩いた。
「触んなよ!」
思いの外、大きな声が出た。
昼休みで、教室にはそんなに人数が
いなかったけれど、一瞬まわりが静かに
なった。
「ごめん」
紺野は固まったまま、理解できずにいた。
僕は黙って教室を出た。
…面倒くさい。
大人と子どもの間って、面倒くさい。
誰かとどうこうなるとか、ならないとか。
自分も昨日まで、あれほどのぞみのことで
ウジウジ悩んでいたのにそんなことは
棚にあげていた。
僕らは違う。僕とのぞみのことは
邪魔しないでほしい。
そんなくだらないことで、
引っ掻き回さないでほしい。
「のぞみ!」
気づいたら、のぞみのクラスに来ていた。
「わ…理数科のコ…ほら、真島さんの」
「やっぱりイケメンだね」
そんな声が聞こえてきた。
どいつもこいつも、うるさい。
「あれ、流星?どうしたの?」
ノートの束を抱えたのぞみが、僕に気づいた。
朝から4時間ぶりに聞く、のぞみの声。
「次の授業、サボろう」
「え?え、ちょっと、流星!」
