
20年 あなたと歩いた時間
第12章 君が生きた日々
「濡れるよ…?」
紺野が、電話ボックスの中で一歩奥に入って
僕のスペースを作った。
でもその一歩を進めば、何もかもが
間違った方向に進む気がした。
「おれ、本当に紺野のことは…そういうんじゃないから…あんなことして後悔してる。だから、ごめん。電話とかされたら、本当困るんだよ」
「…うん…でも私、やっぱり好きだから、もうちょっと頑張ったら、小野塚くんが揺れてくれるかもって思った…」
「それはないから…」
精一杯、自分の気持ちを伝えたつもりだった。
こうあるべきと思っている僕の、気持ち。
「もう帰るよ。紺野も、早く行けよ。風邪ひくぞ。じゃあな」
「小野塚く…!」
紺野が何か言いかけたのを無視して、
僕は再び雨の中に出た。
さっきはあんなに走って、少しでも早く
あの電話ボックスに行くことしか
考えていなかった。
その先にあるものなんてどうでもよかった。
ただ、あの紺野が雨の中、狭い電話ボックスで
僕に対して謝る姿を思うと
いたたまれなかった。
そんなのは、紺野じゃない。
これで、良かったんだ。
これが、正しい答えだったんだ。
遠回りして家に帰りつくまでの間、
何度も自分に言い聞かせた。
そうしなければ簡単に紺野になびいてしまう
自分を認めていた。
「流星?流星!」
公園の側を通りかかった時、声がした。
いつの間にか雨は上がっていた。
紺野が、電話ボックスの中で一歩奥に入って
僕のスペースを作った。
でもその一歩を進めば、何もかもが
間違った方向に進む気がした。
「おれ、本当に紺野のことは…そういうんじゃないから…あんなことして後悔してる。だから、ごめん。電話とかされたら、本当困るんだよ」
「…うん…でも私、やっぱり好きだから、もうちょっと頑張ったら、小野塚くんが揺れてくれるかもって思った…」
「それはないから…」
精一杯、自分の気持ちを伝えたつもりだった。
こうあるべきと思っている僕の、気持ち。
「もう帰るよ。紺野も、早く行けよ。風邪ひくぞ。じゃあな」
「小野塚く…!」
紺野が何か言いかけたのを無視して、
僕は再び雨の中に出た。
さっきはあんなに走って、少しでも早く
あの電話ボックスに行くことしか
考えていなかった。
その先にあるものなんてどうでもよかった。
ただ、あの紺野が雨の中、狭い電話ボックスで
僕に対して謝る姿を思うと
いたたまれなかった。
そんなのは、紺野じゃない。
これで、良かったんだ。
これが、正しい答えだったんだ。
遠回りして家に帰りつくまでの間、
何度も自分に言い聞かせた。
そうしなければ簡単に紺野になびいてしまう
自分を認めていた。
「流星?流星!」
公園の側を通りかかった時、声がした。
いつの間にか雨は上がっていた。
