
20年 あなたと歩いた時間
第12章 君が生きた日々
「どうしたの?濡れてるよ」
「あ…ちょっとランニング…?」
「雨の中?」
「いや、結構気持ちいいんだ。雨の中走るのも」
「ふー…ん」
「のぞみこそ、なにしてんの。こんな暗いのに」
「散歩。雨上がったから、ちょっと出てきた」
「そうか」
確かにのぞみは何も持たず、部屋着のまま
フラっと出てきた感じだった。
「明日なんか言われるかな。午後の授業サボったから」
「かもな」
「けど楽しかった」
「あのさ…」
僕は何を言おうとしているんだろう。
正直に言ったところで、どうなる?
僕はいま、正しい答えを出してきたところじゃないか。
「あの手紙ね…」
僕が言葉に詰まって黙っていると、
のぞみのほうから話し始めた。
「流星と一緒に大人になりたい、って書いたの…あれ、本当に思ってる。だから、先に大人にならないでね」
のぞみは照れたように笑いながら言った。
「黙んないでよ。なんか…やだな、恥ずかしいよ…あれ?」
のぞみは鼻の頭を赤くして、涙を堪えて
上を向いた。
子どもの頃から泣き虫だったのぞみは、
いつからかこうやって泣くことを
我慢するようになった。
それはきっと僕がそうさせたんだ。
自分が泣けば、僕が困ると思っている。
「…ごめん…!ごめん、のぞみ」
「わ…どうしたの?」
僕はのぞみを抱きしめた。
雨上がりの暗い公園は少し寒くて、
だからのぞみの身体はすごく温かかった。
ごめん、のぞみ。
今は、こうすることしかできない。
こんなに温もりをくれるのぞみに、僕は
いま、何もできていない。
君を守るって、あの時決めたのに。
「流星…痛いよ」
「あ、ごめん」
僕は慌ててのぞみから離れた。
「あ…ちょっとランニング…?」
「雨の中?」
「いや、結構気持ちいいんだ。雨の中走るのも」
「ふー…ん」
「のぞみこそ、なにしてんの。こんな暗いのに」
「散歩。雨上がったから、ちょっと出てきた」
「そうか」
確かにのぞみは何も持たず、部屋着のまま
フラっと出てきた感じだった。
「明日なんか言われるかな。午後の授業サボったから」
「かもな」
「けど楽しかった」
「あのさ…」
僕は何を言おうとしているんだろう。
正直に言ったところで、どうなる?
僕はいま、正しい答えを出してきたところじゃないか。
「あの手紙ね…」
僕が言葉に詰まって黙っていると、
のぞみのほうから話し始めた。
「流星と一緒に大人になりたい、って書いたの…あれ、本当に思ってる。だから、先に大人にならないでね」
のぞみは照れたように笑いながら言った。
「黙んないでよ。なんか…やだな、恥ずかしいよ…あれ?」
のぞみは鼻の頭を赤くして、涙を堪えて
上を向いた。
子どもの頃から泣き虫だったのぞみは、
いつからかこうやって泣くことを
我慢するようになった。
それはきっと僕がそうさせたんだ。
自分が泣けば、僕が困ると思っている。
「…ごめん…!ごめん、のぞみ」
「わ…どうしたの?」
僕はのぞみを抱きしめた。
雨上がりの暗い公園は少し寒くて、
だからのぞみの身体はすごく温かかった。
ごめん、のぞみ。
今は、こうすることしかできない。
こんなに温もりをくれるのぞみに、僕は
いま、何もできていない。
君を守るって、あの時決めたのに。
「流星…痛いよ」
「あ、ごめん」
僕は慌ててのぞみから離れた。
