
20年 あなたと歩いた時間
第12章 君が生きた日々
翌朝。
「…流星。流星?朝だよ、学校!」
「え…?ああ、おはよう…」
「…寝起きの流星。だいすき」
「ん…待って待って」
のぞみはうれしそうに、僕の首に腕を回した。
「ちょ…におい、かぐなって…あ…っ」
僕は、忘れることにした。というか、圭介の
言う通り、一晩寝たらほぼ忘れていた。
のぞみの感じている顔を見たら、どうでも
よくなった。
自分が単純で良かったなと思う。
でも、もう次はないと確信した。
僕らは、崖っぷちにいたのだと。
のぞみに一緒に暮らそうと言うと、初めて見る
ような笑顔で喜んだ。
だから僕は、これで良かったんだと思った。何もかもうまく行くと。
「痛っ!」
「流星?!」
その時、鎖骨に痛みが走った。
「大丈夫?」
「変な動き…したからかな…」
何で。
何で、今なんだよ。
もうちょっと、待って欲しかったな…。
