
20年 あなたと歩いた時間
第13章 そして
最初に話したのは、ゆいだった。
ゆいは、驚いた振りをした。それも、僕の予想
通りだった。
「寂しくなるね。なかなか会えなくなる」
「…そんなこと、全然思ってないくせに」
「へへ…バレた」
川辺先生は、ちゃんと驚いてくれた。
そして「全部、手に入れろ」と言ってくれた。
それはかつて、流星にかけた言葉だと僕は
知っている。
母さんに話したのは、全部決めてしまって
からだった。そうでないと、母さんは反対
するに決まっている。
でも、最後にはそれが広輝の生きる道なんだ
から仕方ないね、と言ってくれた。
長い時間を経て、僕はやっと流星の人生を歩き
出すことができる。
流星は僕の身体を使って途切れた命を再生
した。大切な人の命を守るため、まず自らの
命を再生したのだ。
「気を付けてね。陽子叔母さんの言うこと、よく聞くのよ」
「…子どもじゃないんだからさ」
「なに言ってんの。子どもよ。全然子ども」
そう言われて、僕はふと新しい記憶をたどる。
流星の16歳は、子どもと大人のあいだで揺れ
動いてどこに向かうべきかわからずにいた。
それでも未来ののぞみを救いたい一心で生きて
いた。
僕は。
父親の願いを叶えたくて、生きる。
向かうべき場所は、ちゃんとわかっている。
ゆいは、驚いた振りをした。それも、僕の予想
通りだった。
「寂しくなるね。なかなか会えなくなる」
「…そんなこと、全然思ってないくせに」
「へへ…バレた」
川辺先生は、ちゃんと驚いてくれた。
そして「全部、手に入れろ」と言ってくれた。
それはかつて、流星にかけた言葉だと僕は
知っている。
母さんに話したのは、全部決めてしまって
からだった。そうでないと、母さんは反対
するに決まっている。
でも、最後にはそれが広輝の生きる道なんだ
から仕方ないね、と言ってくれた。
長い時間を経て、僕はやっと流星の人生を歩き
出すことができる。
流星は僕の身体を使って途切れた命を再生
した。大切な人の命を守るため、まず自らの
命を再生したのだ。
「気を付けてね。陽子叔母さんの言うこと、よく聞くのよ」
「…子どもじゃないんだからさ」
「なに言ってんの。子どもよ。全然子ども」
そう言われて、僕はふと新しい記憶をたどる。
流星の16歳は、子どもと大人のあいだで揺れ
動いてどこに向かうべきかわからずにいた。
それでも未来ののぞみを救いたい一心で生きて
いた。
僕は。
父親の願いを叶えたくて、生きる。
向かうべき場所は、ちゃんとわかっている。
