
20年 あなたと歩いた時間
第2章 16歳
要と真緒は中学生のころ、思い合っていた。
だけど、それは私と流星だけが知っている。
いつか、くっつくだろうと私達は
関与せずにいたら、高校生になってしまった。
でもお互い気持ちは今も変わっていない
はずだと私は思う。
その証拠に二人は今も恋人はいない。
「言っちゃえば?要に、好きって」
「じゃあのぞみは言ったの?流星に、好きって」
「いや、それは…」
矛先が自分に向いて思わず焦る。
でも私は正直に答えた。
「それがね、最近かも。…流星が好きって気づいたのが」
「…は…?」
それを聞いて真緒が固まった。
「のぞみ、今まで流星のこと…その、男子として意識してなかったってこと?」
「そういうこと…かな。実はね、紺野さんの話には続きがあって…」
私は流星の部屋で打ち明けられたことを、
真緒に話した。
「で、流星は紺野さんと付き合うって言ったの?」
「うん…」
真緒は、高校に入ってからショートにした髪を
くしゃくしゃっとかきむしり、寝転んだ。
「けどさ、流星らしくないよね。本当にその
紺野って子を好きなの?要じゃあるまいし
流星に限って好きでもない子と付き合う?」
「好きになろうとしてるのかな…」
「何で!?冷静を絵にしたような流星がそんな血迷った真似…」
真緒は、あっ、と何かに気づいて
声をあげた。
「…のぞみに、止めてほしいんじゃない?」
「まさか」
ねえ、流星。笑えるでしょ?
流星が誰かと付き合うかも知れないと知って
初めて自分の気持ちに気付くなんて。
でもそれだけ長い時間、
私は流星の側にいたの。
そんなことにも気付かないほど、
近くにいたの。
そして、この時から私達の関係は
変わっていったね。
高校一年生の夏休みは、
忘れられない夏になった。
