
20年 あなたと歩いた時間
第2章 16歳
「ちゃんと言えよ」
「…言えない」
「なんで」
「怖い」
「怖がり。相手が流星で何ビビってんだよ。誰でもない、流星じゃねえか。一番のぞみのことわかってる相手だろ」
「だって、紺野さんと付き合うって決めたのは流星でしょ」
「じゃあいいんだな、流星が紺野に何しても。付き合うってそういうことだよ。もうガキじゃねーんだよ。のぞみだってわかってんだろ」
要はまっすぐ目を見て言った。
「流星があんな怒るってことは、よっぽどだろ」
「…いやだ」
「今日、久しぶりにいつもの公園に行こうって言ってたんだ。あいつと。のぞみ、行って話してこい」
「私、変わってしまうことが怖い」
「何言ってんだよ。好きなんだろ?流星のこと。それにあいつ、まだ紺野には返事してないよ。紺野の彼氏じゃねーからさ」
いつも私をからかう要が、
とても優しい声で私に言う。
いくつかの記憶がよみがえる。
いじめられたら仕返しをしてくれたのは
いつも要だった。
平和的解決をしようとする流星とは
正反対に、相手の胸ぐらに飛び込んでいった
要。
「おれ、真緒ひとりしか守れないからさ。のぞみのことは流星が守ってくれるよ」
「…」
「変わることは怖いことじゃない。絶対に流星にものぞみにも、お互いが必要なんだよ」
「…」
「ほら、行けって!」
要は私の背中を押した。
温かくて大きな手が、少しだけ安心感を
与えてくれる。
「『必ず最後に愛は勝つ』だろ」
「…うん」
要が得意な、その時に流行っていた歌を
口ずさんで笑った。
あの時勇気を出さなかったら、
私は何も知らないままだった。
あの歌のように、愛されるよろこびも、
誰かを信じることも。
「…言えない」
「なんで」
「怖い」
「怖がり。相手が流星で何ビビってんだよ。誰でもない、流星じゃねえか。一番のぞみのことわかってる相手だろ」
「だって、紺野さんと付き合うって決めたのは流星でしょ」
「じゃあいいんだな、流星が紺野に何しても。付き合うってそういうことだよ。もうガキじゃねーんだよ。のぞみだってわかってんだろ」
要はまっすぐ目を見て言った。
「流星があんな怒るってことは、よっぽどだろ」
「…いやだ」
「今日、久しぶりにいつもの公園に行こうって言ってたんだ。あいつと。のぞみ、行って話してこい」
「私、変わってしまうことが怖い」
「何言ってんだよ。好きなんだろ?流星のこと。それにあいつ、まだ紺野には返事してないよ。紺野の彼氏じゃねーからさ」
いつも私をからかう要が、
とても優しい声で私に言う。
いくつかの記憶がよみがえる。
いじめられたら仕返しをしてくれたのは
いつも要だった。
平和的解決をしようとする流星とは
正反対に、相手の胸ぐらに飛び込んでいった
要。
「おれ、真緒ひとりしか守れないからさ。のぞみのことは流星が守ってくれるよ」
「…」
「変わることは怖いことじゃない。絶対に流星にものぞみにも、お互いが必要なんだよ」
「…」
「ほら、行けって!」
要は私の背中を押した。
温かくて大きな手が、少しだけ安心感を
与えてくれる。
「『必ず最後に愛は勝つ』だろ」
「…うん」
要が得意な、その時に流行っていた歌を
口ずさんで笑った。
あの時勇気を出さなかったら、
私は何も知らないままだった。
あの歌のように、愛されるよろこびも、
誰かを信じることも。
