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20年 あなたと歩いた時間

第1章 14歳

流星も要も二年生になって
急に背が伸びて、雰囲気も何となく違う。
真緒もそうだ。
ほっそりしたスタイルは変わらないけれど
私よりずっと胸もある。
髪を結わえるためのゴムを掛けた手首は
すごくきれいだ。

「のぞみ。どうしたの?…進んでないよ」
「あ、うん。ちょっと考え事」
「これ片付けたら、本屋付き合ってよ」

真緒が、私の薄い問題集をシャーペンで
つついて言った。
今日は私と真緒が毎月交代で買っている
雑誌の発売日だ。

「本屋行くならさ、シャー芯買ってきて」

要がペットボトルのお茶を飲み干して
言った。

「なに、シャーシンって」

真緒が本気でわからないといった感じで
眉間に皺を寄せて聞く。

シャーペンの芯だよ、と私が言うと
要がマジでわかんね?と笑った。

「あ、芯ね。…ていうか、何でも略するのやめてよね。要のおちゃらけた感じが余計強調される」

それだけ言って真緒は再びノートに視線を
落とした。
要は夏休みに入ってから伸ばしている髪を
左右に振って真緒を見たけど、
真緒は何も言わなかった。

四人の中に、今までなかった感情が生まれたのは、この夏休みだったと今ではわかる。

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