
20年 あなたと歩いた時間
第4章 18歳
今日は全然暗記モノが頭に入らない。
切り替えて、数学の証明でも
しようと思ったのにこれもまた解けない。
昨日初めて、流星は普通の十八歳の
男の子なんだと実感した。
幼い頃から、他の子よりもしっかりしていて
優しくて精神年齢の高い子どもだった。
勉強もスポーツもできて、
バカなことで騒ぐ友達を
遠巻きに眺めているタイプだった。
だから、無意識のうちに甘えたり
頼りすぎたりしていた気がする。
中学二年生のとき、流星は父親が経営する
会社の倒産を経験した。
思えばあの時から、流星は輪をかけて強く、
自分の中にぶれない芯を持つように
なったのかもしれない。
そして、他人との距離をとるようになった。
(やばい。おれ、我慢できない。)
流星は目を逸らして、私から離れた。
思い出すだけで、体の奥深い場所、
どこかはわからない場所が熱くなった。
私は、嫌じゃない。
流星と、『そうなる』ことを
避けているわけじゃない。
そんなことは恥ずかしくて誰にも
言えないけれど、本当は嫌じゃないのだ。
クールダウンしようと部屋の窓を開けて、
夜空を見上げた。
切り替えて、数学の証明でも
しようと思ったのにこれもまた解けない。
昨日初めて、流星は普通の十八歳の
男の子なんだと実感した。
幼い頃から、他の子よりもしっかりしていて
優しくて精神年齢の高い子どもだった。
勉強もスポーツもできて、
バカなことで騒ぐ友達を
遠巻きに眺めているタイプだった。
だから、無意識のうちに甘えたり
頼りすぎたりしていた気がする。
中学二年生のとき、流星は父親が経営する
会社の倒産を経験した。
思えばあの時から、流星は輪をかけて強く、
自分の中にぶれない芯を持つように
なったのかもしれない。
そして、他人との距離をとるようになった。
(やばい。おれ、我慢できない。)
流星は目を逸らして、私から離れた。
思い出すだけで、体の奥深い場所、
どこかはわからない場所が熱くなった。
私は、嫌じゃない。
流星と、『そうなる』ことを
避けているわけじゃない。
そんなことは恥ずかしくて誰にも
言えないけれど、本当は嫌じゃないのだ。
クールダウンしようと部屋の窓を開けて、
夜空を見上げた。
