
20年 あなたと歩いた時間
第4章 18歳
「え!ちょっと、流星!」
「うま!これ、高かったんだっけ?」
唖然とする私をよそに、チョコを食べながら
パッケージを手にして、
へー、こういうの生チョコって言うんだ、
ふーん、と言った。
それからチラッと私を見て、ふっと笑った。
びっくりするほど、大人っぽい表情だった。
少し伸びた前髪の奥にある、優しい目が
私を見つめる。左右で少し大きさの違う、
私の大好きな流星の目。
流星は、いつも私よりも先に
大人になっていく。
今度はちゃんと食べさせてやるから、
と言って流星はチョコをひとつ、
口に入れてくれた。
「うまい?」
「うん…おいしい」
「四月になったらいつでも買いにいけるな」
流星はそう言って、何か音楽聴く?
と立ち上がり、プレイヤーの電源を入れた。
「流星、いつの間に大人になったの?」
「え?」
「私、今まで何度もそう思ってきた。大きな手も、長い脚も、低めの声も。どれも、子どもの頃の流星にはなかった。流星はどんどん大人になるのに、私は全然変わんないよ」
流星はCDを持ったまま、じっと私の方を
見た。
「私、そんな流星を見てたら早く私も大人になりたくて、」
「のぞみ、」
床にぺたんと座る私を
自分のひざではさむようにして、
流星は私と向かい合って座った。
「おれは、全然大人じゃないよ。今だって自分の気持ちをなかなか言えなくて、へんな行動してさ…それにまだ何にもできてない。大学に受かっただけじゃん。それに、のぞみだって変わったよ。柔らかくてあったかくて…おれ、いつものぞみのこと抱きしめたいって思ってる」
「…そうなの?」
流星はにっこり笑って、そうだよ、
と答えた。
「…のぞみを、おれのものにしたい…」
そう言うと、流星は私を引っ張り寄せて
唇を合わせた。
「…って言うのに、どれだけかかったと思ってんだよ」
「うま!これ、高かったんだっけ?」
唖然とする私をよそに、チョコを食べながら
パッケージを手にして、
へー、こういうの生チョコって言うんだ、
ふーん、と言った。
それからチラッと私を見て、ふっと笑った。
びっくりするほど、大人っぽい表情だった。
少し伸びた前髪の奥にある、優しい目が
私を見つめる。左右で少し大きさの違う、
私の大好きな流星の目。
流星は、いつも私よりも先に
大人になっていく。
今度はちゃんと食べさせてやるから、
と言って流星はチョコをひとつ、
口に入れてくれた。
「うまい?」
「うん…おいしい」
「四月になったらいつでも買いにいけるな」
流星はそう言って、何か音楽聴く?
と立ち上がり、プレイヤーの電源を入れた。
「流星、いつの間に大人になったの?」
「え?」
「私、今まで何度もそう思ってきた。大きな手も、長い脚も、低めの声も。どれも、子どもの頃の流星にはなかった。流星はどんどん大人になるのに、私は全然変わんないよ」
流星はCDを持ったまま、じっと私の方を
見た。
「私、そんな流星を見てたら早く私も大人になりたくて、」
「のぞみ、」
床にぺたんと座る私を
自分のひざではさむようにして、
流星は私と向かい合って座った。
「おれは、全然大人じゃないよ。今だって自分の気持ちをなかなか言えなくて、へんな行動してさ…それにまだ何にもできてない。大学に受かっただけじゃん。それに、のぞみだって変わったよ。柔らかくてあったかくて…おれ、いつものぞみのこと抱きしめたいって思ってる」
「…そうなの?」
流星はにっこり笑って、そうだよ、
と答えた。
「…のぞみを、おれのものにしたい…」
そう言うと、流星は私を引っ張り寄せて
唇を合わせた。
「…って言うのに、どれだけかかったと思ってんだよ」
