
20年 あなたと歩いた時間
第5章 20歳
教科書の入った鞄と、ごみの入った袋を持って
靴をはくと玄関にある流星の傘が目に入った。
昨日帰らなかった流星は、もしかしたら
雨に濡れているかもしれない。
学校で会えるかも、と流星の傘と自分のを
手にしたが思い直して一本はもとに戻した。
(のぞみのそういうところ、ちょっと重い)
流星の声でよみがえった。
重い、ってどういうこと。
そういう風に思っているのを、初めて知った。
でも気になるわけではない。
そんなの。
今まで何年一緒にいると思ってるの。
大学まで同じで、同じ部屋に住んで。
いまさら重いもなにもあるわけがない。
言われた内容よりも、そんなことを言った
流星のことのほうが気になる。
あまりマイナス感情を表に出さない流星が、
ずっと気になっていた。
どこかでストレスを発散させないと、
こんな生活は続かないのではないかと。
それが流星にとっては走ることなのだろうけど
少しは私を頼ってほしかった。
流星は『かっこ悪い自分』を決して私には
見せない。そんな風に頑張っていたら、
いつか壊れないかな。
大学に入って、何度か流星の部活を
見に行ったことがある。
何となく、走っている流星を見たくなって、
ひとりグラウンドに向かった。
そこには、以前のように伸びやかに走る姿は
なかった。
黙々と厳しい表情で、
見えないゴールに向かって。
ちっとも楽しそうには見えなかった。
どうして、流星は走るの?
どうして、流星は走るのが好きなの?
『好きに、理由なんてある?』
靴をはくと玄関にある流星の傘が目に入った。
昨日帰らなかった流星は、もしかしたら
雨に濡れているかもしれない。
学校で会えるかも、と流星の傘と自分のを
手にしたが思い直して一本はもとに戻した。
(のぞみのそういうところ、ちょっと重い)
流星の声でよみがえった。
重い、ってどういうこと。
そういう風に思っているのを、初めて知った。
でも気になるわけではない。
そんなの。
今まで何年一緒にいると思ってるの。
大学まで同じで、同じ部屋に住んで。
いまさら重いもなにもあるわけがない。
言われた内容よりも、そんなことを言った
流星のことのほうが気になる。
あまりマイナス感情を表に出さない流星が、
ずっと気になっていた。
どこかでストレスを発散させないと、
こんな生活は続かないのではないかと。
それが流星にとっては走ることなのだろうけど
少しは私を頼ってほしかった。
流星は『かっこ悪い自分』を決して私には
見せない。そんな風に頑張っていたら、
いつか壊れないかな。
大学に入って、何度か流星の部活を
見に行ったことがある。
何となく、走っている流星を見たくなって、
ひとりグラウンドに向かった。
そこには、以前のように伸びやかに走る姿は
なかった。
黙々と厳しい表情で、
見えないゴールに向かって。
ちっとも楽しそうには見えなかった。
どうして、流星は走るの?
どうして、流星は走るのが好きなの?
『好きに、理由なんてある?』
