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20年 あなたと歩いた時間

第5章 20歳

あっという間に夏休みに入った。
流星は相変わらず勉強と部活とバイト、
私も何だかんだでバイト漬けの毎日だった。
久しぶりの休日。
いつの間にか朝が来て、カーテンの隙間から
射し込む光が、今日も暑いことを
知らせている。

「りゅ…うせい。…ん…」
「…のぞみ、もういっかい…しよ?」
「だめー…」

狭いシングルベッドで、何度も愛し合って、
それでもまだ離してくれない流星は、
かわいい。どんなにだめだと言っても、
ほら、のぞみだってしたがってるじゃん、
と言って私に手を伸ばす。

「ん…あ…っ」
「…かわいい…のぞみ」
「少し…眠らな…きゃ…っあ」

今日から一週間だけ、真緒や要と予定を合わせ
地元に帰ることにした。
私達が何度も一緒に乗ったことのある
えんじ色の電車が心地よく揺れる。
電車で二時間弱の距離も毎日通うとなると
やっぱりしんどいんだろうな…と、
流れていく景色を眺めていると、
隣に座る流星がいつの間にか眠っていた。

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