秘密の兄妹
第9章 幸せを感じるとき
「紫織ちゃんに『今幸せ?』って聞いたらあの子、子供のように泣きじゃくったんだぜ。
あの子たぶん、今の彼氏に自分が愛されてると全く思ってない……。
今付き合ってる奴、恐らく紫織ちゃんの身体だけが目当て…」
「俺が紫織ちゃんに『好きだ』とか言うたびに涙流して、そんな言葉すら言ってもらってないみたいで……
紫織ちゃんのこと抱いて、いっそう愛しさが増してきた……」
春樹は俺の方を向くと、俺に言う。
「やっぱり紫織ちゃん、俺がもらっていい?大事にするから……。
本気で今、そう思ってる。
あの子のこと可愛くてしたかがないんだ……」
「…………」
俺は膝の上で拳をぎゅっと握りしめた。
「…別に俺に聞かなくてもいいよ。紫織と春樹の問題だから……」
「うん、じゃあ、そうさせてもらう…」
風磨は俺たちの会話を黙って聞いていた。
俺の心の中は嵐が駆け巡るように激しく揺さぶられていた。
紫織の奴、許せない……
他の男に身体を奪われやがって…
春樹だけはダメなのに……
こいつは本気で紫織のこと幸せにできる男だから、
こいつだけはダメなのに……
早く夜が明けてほしい
家に帰ったらただじゃ済まさない
お前のこと、とことん虐め倒してやる
俺がお前の立場を分からせてやるから覚悟しとけ、紫織……
俺は何があってもお前を離さない……