秘密の兄妹
第13章 【好き】の自覚
キーンコーンカーンコーン
「悠人!これから風磨たちとゲーセン行かねえ?」
大地が俺の机まで来ると、笑顔で俺を遊びに誘ってくる。
「…行かね…今日は早く帰るわ…」
俺の気のない返事を聞いて、大地がつまらない顔をする。
「ちえっ、悠人、最近付き合い悪いぞ。女でもできたか?」
「…………」
「マジ!?否定しないってことはそうなのか?」
「…違う、本気で大事にしたい好きな女ができただけ…」
「悠人に好きな女!?だったら早く落としちまえよ!!お前ならすぐに落とせるだろ?」
「…無理だよ。きっと一生、俺の片想いのままで終わる…。その女、顔とかで人を選ぶタイプじゃないし、とてもじゃねえけど俺と釣り合わないようないい女だから…」
「何だよ、そんなに気弱になって!お前に好かれて嬉しくない女なんていねえよ。」
「…………」
俺は何も言わずに黙った。
「うわぁ!悠人マジなんだ!!こんな悠人見たことねえ、面白れえ!!」
「黙れ、バカ大地…」
俺は大地にそう言うと、カバンを持って教室を出た。
★★★★★
俺が家のすぐ近くの道を歩いていると、俺の家の前に同じ高校の制服を着た女が立っていた。
…また俺の追っかけか?家まで来られんのって本当に困んだけど……
俺が面倒臭そうに家の門の前まで行くと、その女が声をかけてくる。
「悠人!久しぶり!」
…………。
「誰…?」
俺が女にそう聞いた途端、その女は顔色を変えた。