秘密の兄妹
第14章 罪と罰
「あの子、今、彼氏いるみたいですけど、ろくな男じゃなさそうだし、紫織のことだから、どうせ彼氏より高瀬先輩のことを優先しているでしょう?」
「…………」
「紫織【最近、お兄ちゃんが優しい】って嬉しそうにしてますけど、今までさんざん紫織に寂しい想いさせておいて、今更、紫織を手放すのは惜しいとか自分勝手なこと考えないでくださいね。
紫織のことを少しでも想うなら、高瀬先輩が妹離れしてください……
じゃないと、あの子、可哀想すぎるっ……」
由香はそう言うと、目を潤ませた。
「…………」
俺は何も言えなかった。
――――――
――――
――
「…ただいま…」
「おかえりなさい、お兄ちゃん。」
紫織は俺が帰ると、座っているリビングのソファーから顔を俺の方へ向ける。
「…………」
俺はソファーに近づき、紫織の横に座ると、紫織の体を寄り添わせて、片手で紫織を抱きしめた。
「……紫織、今、寂しいか……?」
「…?寂しくないよ?お兄ちゃんが優しくしてくれるから……」
「…そうか……」
俺は紫織の頭を撫でる。
「ねえ、お兄ちゃん…」
「何だ…?」
「まだ私のこと飽きてない?私、まだお兄ちゃんのオモチャの役割ちゃんと果たせてる…?」
「…ああ…」
「…よかった……」
紫織はそう言うと、俺の胸に顔をすり寄せた。
「お兄ちゃん、大好き……」
「……知ってる……」
嫌ってくらい知ってる……
苦しいくらい分かってる……
そして、今日、もっと苦しくなるくらいお前から愛情をもらってたことを知らされた……
俺が両親がいなくても全く寂しい想いをしなかったのは
紫織…
お前がいてくれたからなんだ……