秘密の兄妹
第15章 美加の復讐
「…………」
「悠人…」
美加たちが去ったあと、黙って立っている俺に、風磨が心配そうな顔をして声をかけてくる。
「…風磨、やっぱり俺って最低だよな…
さっきいた女子たち全員の顔も名前も思い出せねえ…
本当に救いようのない最低な奴だ…」
「…とりあえず保健室に行こうぜ。立野先生と近藤先生に呼び出されてんだろ?」
「…ああ」
★★★★★★
「心因的ストレス?」
学校の心理カウンセラーの近藤先生に告げられた言葉を聞いて、思わず俺の体が前のめりになる。
「ええ、今回のことで強いショックを受けて、紫織ちゃんの心と体に何か変化があるかもしれない。
3人の男に無理やりレイプされそうになったのよ?
女の子が好きでもない相手にそういうことされそうになるの、どんなに恐怖か男の人には分からないでしょう。」
「……例えば、紫織にどんな変化があるんですか…?」
「…そうね、例えば、紫織ちゃんは薄暗くて狭い体育倉庫の中で襲われそうになったから暗所恐怖症や閉所恐怖症になる可能性もある…」
「勿論、男の人を必要以上に怖がるようになる可能性もある…」
「…他にも、強いストレスで何ヵ月も生理が止まっちゃったっていう子がいるとも聞いたことがあるわ……」
「…………」
「さっき、紫織ちゃんが保健室に来たときに、一応、心が落ち着く薬を飲ませておいたわ。
あと、よく眠れる薬も1日分だけ出しておいた…」
「……そうですか」
「もちろん、症状が全く出ない子もいるけど、10代で高校一年生って傷つきやすい年頃だから、お兄さんのあなたが、ちゃんと紫織ちゃんのこと気にかけて見てあげてね。」
「…はい」