秘密の兄妹
第15章 美加の復讐
「あと、紫織ちゃん明日は学校に無理やり来させなくてもいいから。
紫織ちゃんの担任の先生には私から事情を話しておくわ。
とにかく、紫織ちゃんの心と体を一番に考えて行動してあげて…」
「…分かりました」
★★★★★★
保健室で先生と話したあと、俺は風磨と一緒に教室へ戻る。
教室では紫織と沢村がベランダ側の窓辺に立って、暗くなった校庭を見ていた。
「紫織…」
「あっ、お兄ちゃん…」
紫織は振り向き、俺の側まで寄ってくると、俺の顔を見上げる。
「立野先生と近藤先生たちと何の話してたの…?」
「…紫織は今日怖い思いをして、まだ心の整理がついていないだろうから、明日は学校休んでもいいって……」
「…そう…」
紫織は目を伏せて、何ともいえない顔をした。
「悠人、今日はもう帰れ。沢村は俺が家まで送っていくから、早く帰って紫織ちゃんのこと休ませてやれ。」
風磨が俺に気を遣い、俺の机から俺と紫織のカバンを取り、渡してくる。
「悪い、風磨。あとで今日の埋め合わせするから」
「ああ…」
俺は紫織の手を引くと、教室を後にした。