秘密の兄妹
第16章 壊れかけの心
「そして極めつけは、紫織ちゃんのクラスの女子と、中学の時、紫織ちゃんと同じクラスだった女子たちが、アキラたちを取り囲んで、あいつらを吊し上げた…」
「紫織ちゃんって女子にも優しいから、紫織ちゃんのことを傷つけようとしたアキラたちは、女の敵としてみなされて、男子だけじゃなく女子たちの怒りも買ったんだ…」
「…………」
「で、見事に学校にあいつらの居場所がなくなって、アキラたち3人とも、逃げるようにして家に帰っていった…
すべて俺の思惑どおり事が進んでくれて助かったよ
まあ、これも紫織ちゃんの日頃の行いのおかげなんだけどな…」
俺は、俺に説明し終えて、またお茶に手を伸ばす風磨に尋ねる。
「…何で風磨が紫織のためにそこまでしてくれるんだ…?」
風磨はお茶を口に含んだあと、答える。
「むかついたから…」
「は…?」
「昨日、紫織ちゃんを3人でよってたかってレイプしようとしておいて、全く反省の色がないまま帰っていったアキラたちに、すげえ腹が立ったんだ…」
「先生たちはアキラたちに何の処分もしなかったろ?
そんなんじゃ、あいつら、また同じこと繰り返すと思ってな…
先生たちが何の処分もしないなら、俺が代わりにあいつらに制裁を加えてやろうと思って、今回の案を考えた」
「…………」
「ああいう最低な奴らは、俺が学校これなくしてやる…」
「…風磨」
「何?」
「…俺、今日、お前がダチでよかったと心から思った…
お前、やることメチャクチャ怖えけど、すげえいい奴だな……」
「…別に……
あとで、大地に礼でも言っとけよ…」
「ああ…」