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秘密の兄妹

第16章 壊れかけの心





「あっ、そうだ!3組の雪村から聞いたんだけど、風磨が中3のときに付き合ってた遥が最近、彼氏と別れたんだってさ。

それが原因で、遥、かなり落ち込んでるみたいだぜ」



「遥が…?」



大地の言葉に風磨は顔色を変える。



「風磨…慰めに行ってやれば…?

お前、遥と付き合ってた頃、遥のことすげえ大事にしてたじゃん」



風磨は遠い目をしたあと、優しい顔つきで笑った。



「いや、やめとく…

遥を慰める男は俺じゃなくて、次に遥が好きになった男の方がいい……

その方が遥も幸せになれる…」



「そうか…風磨がそう言うならその方がいいのかもな……」



遥か…



俺も遥のことは覚えてる……



風磨は遥にすごく優しかったから…



「でもさあ、風磨って中2のときは玲菜と付き合ってて、玲菜と別れたあとは未央と付き合ってたじゃん。

で、3年になったら遥。

遥と別れたあと、お前、誰とも付き合わなくなったよな…?

それって今でもまだ遥のこと好きだからじゃねえの?」



「…ううん、違う…

遥と付き合ってたとき、俺なりに遥のこと大事にしてたつもりだったけど、遥、他の男と浮気したろ?

まあ、俺はそのことに関しては怒ってはいなかったんだけど、よくよく考えたら、俺が大事にしてたつもりでも遥にとってはそう思えなかったんだと思って…

だから遥は浮気したんだと思う…

そのことに気づいてから、少し女と付き合うとか、そういうことにためらうようになった……」



「ふぅん、風磨ってけっこう真面目だな…」



確かに、風磨は意外と真面目だ…



中2のとき付き合ってた玲菜も未央も付き合ってた当時はかなり大事にしてた



「それよりも大地、次、英語じゃん。

お前、英語の教科書忘れたって言ってなかったけ?

早く誰かから借りてきた方がいいんじゃね?」



「おおっ!そうだった!!

ちょっと隣のクラスに行ってくる!!」



「本当にいつも騒がしい奴…」



風磨は大地が走っていく姿を見て、口元を緩めた。







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