秘密の兄妹
第16章 壊れかけの心
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「春樹、悪い。俺、ポカリな!」
「俺はコーラ!
金は後でお前の分も払うから!
じゃあ、先にバスケしに体育館に行ってるな!!よろしく!」
「はいよ。」
春樹は進学クラスの友達と別れると、自販機に向かっていった。
春樹が自販機にお金を入れて、コーラのボタンを押そうと手を伸ばした瞬間、俺は春樹の後ろから缶コーヒーのボタンを押した。
春樹は少し驚いた顔で俺の方を振り向く。
「よう、春樹。久しぶり!
俺に缶コーヒーおごって!
今、金欠で金がないんだ。」
「…風磨」
春樹は笑って缶コーヒーを俺に渡す。
「いいよ。はい…」
「サンキュ」
「相変わらず、すげえ爽やかだな、その笑顔……
昔と全然変わらねえ」
「そう?自分では自覚はないんだけど」
「ふうん…
でもさあ、春樹。俺の前では、その【能面貼り付けたような笑顔】しなくてもいいぜ。
虫酸が走る。」
「…………」