秘密の兄妹
第16章 壊れかけの心
「……沢村、悪いけど、紫織に何かあったら、紫織の携帯から俺に連絡入れてくれる?」
「…はい、そうします」
俺が沢村にそう言うと、紫織は安心したように再び味噌汁を飲みはじめた。
★★★★★★
「なあ、さっきのあれって絶対、紫織ちゃん駄々こねたよな?
『お兄ちゃんが由香の携帯のアドレス聞くなら、私もお兄ちゃんの友達に私のアドレス教えるよ!それでもいいの?』って。」
紫織と沢村と別れた後、大地が俺の肩を組んで楽しそうに笑いだした。
「俺もそう思った…」
風磨まで大地に賛同する。
「俺達は別にアドレスくらい教えてもよかったぜ?
むしろ、紫織ちゃんのアドレス聞きたかった!
お前、そんなに妹のアドレス俺達に教えるの嫌だったわけ?
しかも、お前、女に携帯のアドレス聞いて教えてもらうの断念したの初めてじゃん。
やっぱり妹のこと大事にしてんだなぁ。
悠人!俺は嬉しいぞ!」
「…大地、うるさい…」
「うるさいとは何だよ!さては痛いところ突かれて照れてんのか?
なあ、風磨!」
大地がケラケラ笑いながら風磨の方を見ると、風磨は渡り廊下の方をじっと見つめていた。
「風磨?」
「悪い。俺、食後にコーヒー飲みたくなったから、ちょっと自販機行って買ってくる。
先に教室戻ってて」
「ああ…」
「分かった…」