秘密の兄妹
第17章 春樹と風磨
「ふうん…
でもさあ、春樹。俺の前では、その【能面貼り付けたような笑顔】しなくてもいいぜ。
虫酸が走る。」
「…………」
「俺にバレてないと思った?
お前の腹黒い本性。」
俺が缶コーヒーを飲みながらそう言うと、春樹は口元を緩めた。
「…お前にはバレてる気がしてたよ。
中2の頃から、お前、いつも俺から悠人と大地のこと守るように、俺のこと見張るような感じで一緒にいたじゃん。」
「お前の言うとおり、俺はお前のこと見張ってたんだよ。
春樹、お前、悠人のこと目の敵にしてるだろ。
悠人は知らないけど、お前、悠人の捨てた女、優しく慰めて自分の彼女にしてたりしたよな?
お前の歴代の彼女は、みんな悠人に捨てられた女たちだ…」
俺の言葉を聞いて、春樹はニヤッと笑った。
「そうだよ。
俺、あいつ嫌いだもん。
中身は薄っぺらいのに、顔がいいってだけで、あんなにモテて、女たちの黄色い声を浴びて、心底むかつく!」
「悠人に捨てられた女が『やっぱり春樹の方が悠人より優しくて格好いい』って言ってくれるたび、馬鹿な女どもに、俺の【男気】を見せつけられる。
俺はやっぱり悠人よりも上だって思える…」
「で、お前の馬鹿な欲望を満たすために、今回、紫織ちゃんを狙ったわけだな。」
「ああ、そこまでバレてたんだ!
お前、想像以上にすげえのな……」