テキストサイズ

秘密の兄妹

第4章 兄の想い

夕飯の時刻になり、俺は何事もなかったかのように2階から下りてきて、紫織が用意した食事が並んでいるテーブルに座る。



「今夜は…豚のしょうが焼き、ポテトサラダ、菜の花のお浸しにすまし汁、そしてデザートに苺ね……。」



……父さんと母さんが好きなものというよりは、俺の好きな食べ物だな…



紫織には言ってないけど、豚のしょうが焼きもポテトサラダも果物もけっこう好きだし…



「お父さん洋食の方が好きでしょう?でもお母さんはさっぱりめの方が好きだから、こういう献立になっちゃった。」



紫織は父さんと母さんがいないのが少し寂しいのか、曇った笑顔を見せる。



「…紫織、今日は俺の横に来て食べろ。」



「……えっ?お兄ちゃんの横に座っていいの?」



俺に昼間ひどいことをされたのに、俺が優しくすると、途端に表情を和らげ嬉しそうに笑う紫織が可愛い。



俺はテーブルに肘をついて、紫織に「おいで」と言って、紫織を俺の隣の席に座らせる。



紫織は自分の食事の器を俺の横に置いて、俺に笑いかける。



「じゃあ、食べよう。お兄ちゃん。」



「ああ。」



「「いただきます。」」



2人で声を合わせて食事を始める。



「…………。」



食事を始めてすぐに俺は食べている箸を止めた。



「お兄ちゃん?」





ストーリーメニュー

TOPTOPへ