秘密の兄妹
第6章 知らない本音
春から夏に変わり、夏休みも終り、新学期を迎えた。
夏休みは…お兄ちゃんにほぼ毎日のように求められた。
一日中、解放してくれない時も度々あった。
でも、もう私は自分の中で納得していた。
お兄ちゃんが側にいてくれるから……
私と一緒にごはんを食べてくれる、
普通に会話してくれる、
それだけでもう充分幸せだった。
授業が終わり、お昼休みになって、友達の由香とお弁当を食べていると、由香が嬉しそうに私に話しかけてくる。
「ねえ紫織、私、夏休み前に彼氏ができたでしょう?私ね、夏休み中にその彼と初エッチしちゃった!!」
「え…?純哉くんと…!?……そっか…」
由香も初体験したかと思うと、少しホッとした。
「ねえ、紫織も他校に彼氏いるんでしょう?もう当然してるよね…?」
嫌なほど…してる……
「…うん…」
「でも、好きな人とエッチするのって幸せじゃない?なんか愛されてるなぁって思える……。」
「……エッチするのが幸せ?愛されてると思える?」
私は驚いて由香に聞き返す。
「うん、エッチしてるとき『好きだよ』とか『可愛いよ』とか言ってくれるし、初めての時もそうじゃない時も『大丈夫?痛くない?』とかって、いつも私のこと気にかけてくれるから…」
「…………」
「紫織も言われるでしょう?そういうこと。」
私は少し自分を嘲笑った。
「言われたことないよ……そんなこと一度も。」
由香は私のその発言に驚く。
「えっ?彼氏なのに言ってくれないの?」
「…うん、言わない。」
ないよ…
好きだとか、私の身体を気遣うような言葉なんて一つもない……。