秘密の兄妹
第6章 知らない本音
「…由香、由香が今日は嫌っていう時は…純哉くんはどうしてるの?」
由香は私の質問に不思議そうに答える。
「『なら仕方ないな、我慢するよ』って優しく言ってくれるよ。そういうの普通じゃないの?」
「そうなんだ……。」
私が顔を曇らせると、由香が心配そうに聞いてくる。
「ねえ、紫織は今、その他校の彼氏と付き合ってて幸せなの…?」
幸せ…?
前よりは寂しくない……ずっとまし……
「幸せ…だよ…」
由香はそんな私の言葉を聞いて呟く。
「じゃあ、何で泣いてるの……?」
私の瞳から自然と涙がこぼれていた。
「分かんないっ…分からないよ…」
「…………。」
★★★★★
「なあ悠人、お前、最近告ってくる子、片っ端から振ってるけどいいわけ?最近してねえみたいだし溜まってねえの…?」
風磨が俺に聞いてくる。
「してるよ。他校にセフレができたから、そいつが俺がしたいときはいつでも相手してくれる。ここ5ヶ月はそいつとヤりまくってる…」
「身体の相性も抜群、可愛いし、いい子だし、俺のわがまま何でも聞いてくれる最高の女。」
「いいよなぁ、お前ばっかり。でも、今までもっても1ヶ月くらいじゃねえ?」
「お前、みんな適当に相手して適当にヤったら捨ててきたじゃん。今のその子、相当気に入ってんだな。お前、セフレじゃなく実は本気なんじゃねえの…?」
風磨が学食を食べながら、まじまじと俺の顔を覗き込む。
「…馬鹿なこと言うな。」
俺はそう言って学食に箸を伸ばす。
本気だよ……
初めから本気だった
子供の頃から本気で好きだった…
可愛くてたまらない俺の妹……
本気だから
兄妹だから
簡単に【好きだ】とか【愛してる】だとか言えない……
口に出して言えない……