秘密の兄妹
第6章 知らない本音
「あっ、お兄ちゃん……」
お兄ちゃんは私のいるソファーまで足早に来ると、丸くなって耳を塞いでいる私の横に座る。
「早かったね…もしかして、私のために早く帰って来てくれたの?私が雷嫌いだから……」
私がそう聞くと、お兄ちゃんは冷たい態度でプイッと顔を向こうに逸らす。
「んなわけねえだろ!今日はあまり遊ぶ気分じゃなかっただけだ。」
「そうなんだ……でも、嬉しい。帰ってきてくれて嬉しいよ…」
私はお兄ちゃんに抱きついた。
「…………」
「お兄ちゃん体大きいね。抱きついてると、守られてるみたいで安心する……」
「…何、勝手に抱きついてんだよ…」
「迷惑?」
私はお兄ちゃんの顔を見上げる。
「…別にそこまでは言ってない…」
「ふふっ」
私はにっこり笑うと、そのままお兄ちゃんに抱きついて眠ってしまった。
すーすぅー
眠っている紫織の顔を見ながら黒く長い髪をすく。
綺麗な髪…
まつげ長い…
色白で顔ちっちゃいな……
こんなの他の男が放っとくはずねえか……
俺が兄貴じゃなくて紫織のこと好きになっても、きっとこんな最低な奴…振り向いてはもらえない 。
「…お兄…ちゃん、一人にしないで……」
紫織が寝言を言いながら俺にしがみついてくる。
「…しねえよ。お前知らないだろ…お前から離れられないのは俺の方なんだ……」
俺はそう言って紫織の頭を撫でた。