秘密の兄妹
第8章 天使と悪魔
「まあ、俺が言いたいのは、高等部にいる俺たちでも分かるくらい紫織ちゃんはいい子だってこと!」
「なのにお前は、ペットボトルに蓋をつけたまま平気でゴミ箱に捨てるし、
花があっても、そのまま花を踏みつけていくような奴だし、
困ってる奴を進んで助けたりなんかしない。」
「だから同じ血が流れてるとはとても思えないんだよ。まさに天使と悪魔!」
天使と悪魔ねぇ……
「紫織ちゃんと付き合ってる奴、羨ましいよな……。
そいつちゃんとあの子のこと大切にしてくれてんのかな…?
春樹、すげえ心配してたぜ。
紫織ちゃん、そいつと付き合いだしてから悲しそうな顔してることが多くなったって。」
「…………」
「まあ、春樹の気持ちも分かるよ。
紫織ちゃんみないな子って男が守ってあげたくなるようなタイプだから…」
「でも、俺にはお前は兄貴のくせに紫織ちゃんのこと全然守ってやってないように見える。」
「…確かにそうかもな……。」
「一応、自覚はあるんだ?」
「かなりね……。」
「なら、本気で守ってやれよ。紫織ちゃんのこともっと大切にしてやれ…」
「…………」
誰から守るんだよ。
紫織を【オモチャ】だと言って、紫織のこと毎日のように抱いて傷つけてる俺自身から守るのか?
そしたら、俺は紫織と離れなくちゃならなくなる……
無理だ
無理だよ、風磨…
紫織を俺の側から離すわけにはいかない。
紫織は俺だけのものなんだ…
もう、俺以外の男には紫織が見えないようにしてほしいくらいだ……
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