秘密の兄妹
第9章 幸せを感じるとき
身体中が痛い…
そうだ……昨日、お兄ちゃんに何度も…されたんだっけ…
あんなに泣いて拒んだのにやめてくれなかった…
当たり前か…遊ぶためだけにいるオモチャに優しくする必要なんてない……
土曜日のお昼過ぎに、私は悲しい気持ちで重たい瞼を開けた。
目を開けると、お兄ちゃんが服を着てソファーに座り、携帯を見ていた。
「…めんどくせえ……」
「…お兄ちゃん、どうしたの?」
お兄ちゃんは私の方に顔を向ける。
「大地が付き合ってた彼女に振られたから、慰労会することになったって風磨からメールが来た。」
お兄ちゃんはため息をつく。
「大地のマンション行ってくる。今夜はたぶん遅くなって帰らないから、戸締まりきちんとしておけよ。」
「…うん。」
お兄ちゃんは私の側に寄ると、私の顎に手を添えて深い口づけをしてくる。
「んっ…ぅん…んぅ」
唇を離すと、お兄ちゃんは私の瞳を絡みつくように見つめる。
「……お兄ちゃん、外、寒いから暖かくしていってね……」
私の口からついそんな言葉が出た。
「お前、昨日、俺にあんなに酷いことされたのに本当にムカつくほど性格いいのな……」
……?…どうしたんだろう、急に…
「風磨の言うとおり、本当、似てないわ俺ら…」
橘さん…?
「…なぁ、お前って今まで本気で好きになった奴とかっていないの?」
「…………」
お兄ちゃんの質問に、一瞬頭の中で武部さんの顔が浮かんだ。
「いないよ…」
「…そう……。じゃあ行ってくる…」
お兄ちゃんはそう言うと、部屋から出ていった。