吸血鬼系男子。
第2章 *第一章
強引に引っ張られ、ざわざわとした廊下を歩く。
小鳥遊くんに向けられる黄色い声。
視線が痛い。
主に女子の。
「…ねぇ、ちょっと離してよっ。何か凄い恥ずかしいんだけど…」
今までずっと前を向いてぐんぐんと歩いていた彼が、ふと足を止め、振り返った。
私の顔をじっと見つめ、にやっと笑う。
不意に肩を掴まれ、小鳥遊くんの顔がぐっと近付いた。
飛び交う皆の声で、余計にざわついた廊下。
「他の奴らから見たら、俺らどう見えてると思う?」
「え…?」
その言葉の意味を理解するのに、そう時間はかからなかった。
「こんなとこでキスって…大胆ー」
そんな声が耳に入った。
何で私がこの人とキスなんて…!
そんなこと、絶対一生ありえないんだから。
「あのね…さっきも言ったけど、私あんたみたいな変態が一番嫌いなのっ…」
「……あー、言ってろ言ってろ」
はっ、と笑う彼。
何でこの人はこんなに私に突っかかってくるの?
女なんて選び放題でしょうに。
どうしてその中で私だけをそんなにからかうのか。
「いつか、俺のが欲しいって言わせてやるから」
「……絶対言わないしっ」
ああ、やっぱり変態って、嫌いだ。