吸血鬼系男子。
第2章 *第一章
「…何、それだけ?してあげれば良かったじゃん」
は?というような顔をする理紗。
“それだけ”って…
「“保健室でイイことしよっか”とか言われたのに!?」
「…あんた真に受けすぎ。そんなのどーせ嘘でしょ。ビッチを釣るための。ま、あんたを標的にしたのが悪かったね」
理紗はまたスマホをいじりながら言った。
多分彼氏とLINEでもしてるのだろう。
違うクラスでなかなか会えないから仕方ない。
「あーあ。他の子達はあんな最低変態野郎が好きなのー?」
「…誰が最低変態野郎だよ」
「え…あ、たっ小鳥遊くん…」
異様な威圧感で私の後ろに立っていた彼。
何も言えずに黙っていると、小鳥遊くんは私の腕を掴んだ。
ぐいっと引っ張られ、私は彼の腕の中にすっぽり収まった。
「ちょ、ちょっと…!な、何するの…!?」
「あー…やっぱ良いわ、お前。…校内案内、よろしくな」
だから私はやらない、そう言いかけたとき、その口は彼の手でそっと塞がれた。
離そうとしても、私の口を覆うその大きい手は、びくともしない。
「行くぞ」と無理矢理私を引っ張る血管の通った逞しい腕は、とても男らしく感じた。