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誘惑のサンタクロース

第1章 ☆




「ねぇ黒ちゃん、なんかあったの?」




言えない。




逢えて嬉しかったけど、

それは言えない。




願掛けみたいにマフラーをしてきたくせに

言わないなんて卑怯だろうか。




「言いたく、ない」



「そっか、あんま知らない人のほうが

 言いやすいかなって思ったんだけど。

 ごめんね」




お兄さんの横顔を見ると

少し悲しそうだった。





「わたしこそごめんなさい。

 あんま聞いていて

 気持ちのいい話じゃないと思うから」




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