誘惑のサンタクロース
第3章 ☆☆☆
遠くからザッザッと
砂利を蹴る音が聞こえる。
「ハァ・・・ハァ・・・
遅くなってごめん」
お兄さんの声が聞こえた。
わたしは泣き顔を見られなくなくて
顔を上げられなかった。
「黒ちゃん?ごめんね
心細かったよね、ほんとにごめん」
そう言うと、
すごく優しく抱きしめられ
あの甘い、お兄さんの香りに包まれた。
「泣いちゃった?ごめんね
怖かったよね、こんな遅くに」
怖かったわけじゃない。
あなたに逢いたくて、
あなたのことを考えていたら
いつのまにか涙がでてきてしまっただけ。