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らいち♀はホモになりたい

第1章 田中らいち

私は田中家で唯一女っ気のない、三女だ。

小学校では友達が少ないわけではなかったけど、休み時間は男子たちと騒いで遊んでいた。

中学では女の子たちが自分に磨きをかけていくのを見て、必死でついていった。

ただ、一緒に話したり遊ぶには男の子の方が気が楽だった。

本当に親友と呼べたのは、女の子ではなく男の子である、蒲田大貴だった。

彼は元気で親しみやすく、たまに抜けていて守ってあげたい思わせるひとであった。

私は大貴と悪巧みをしては怒られていた。
時には教室の床を水浸しにして楽しんだ。

あのとき大貴が滑って転びそうになった。
支えてあげようと手をのばしたのだが、自分が女であることに引っかかってしまい手が届かなかった。

同じように大貴も私を女と意識してか、戸惑ってしまい挙げ句の果てに転んでしまった。

自分が男であったら大貴を支えてあげられたのだろうか。

大貴を守りたかった。
だけど守れなかった。
自分が女がために。


私は女としてでなく、男として

大貴に恋をしていたようだ。

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