テキストサイズ

春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第8章 新しい一歩


……私の髪に、指を絡めて


ユキの唇が、私の唇に重なった。



「……んっ……」



柔らかいタッチで、唇の表面を軽く舐められるだけ。


それだけでも、ゾクゾクと鳥肌が立つような感覚に襲われる。



「……っ あ……ユキ……」



じれったいキスが続くから、自分でも無意識のうちに


もっとしてって、まるでねだるように呼んでしまった。


図書室で感じた火照りが蘇る。



「何?春ちゃん」

「………!」



唇を少し離して、片方の手を私の背中に回すと


頭と背中を少し持ち上げるように、力を入れられる。



「言ってくれないと分からない」

「………っ」

「キス、嫌だった?」



………え!?

そ、そんなこと言ってないのに……


さっきとは違う、どこか少し冷めたようなユキの瞳。



「ち、違……っ」



私、変だ。


その冷たさに、ものすごく焦って


それでいて酷く興奮してる自分がいる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ