テキストサイズ

春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第9章 その時が来るまで


俺が顔を上げると同時に、2人の女が発狂する。



「アタシ聞いてないけど!?」

「どこからのネタ!?」

「いや、私もさっき知ったんだ。
グラフィック科の子から得た新情報!」



……本人がここに居るっていうのに、3人で盛り上がる女達。


って、今の話は俺も初耳だけど。


この前の土日っつーか、先々週もうちに来たから2週連続なわけで


誰かに見られる可能性もあるっちゃあるわな。


……玄関のドアを開けて


駅の方向へ、ダッシュしていった後ろ姿が脳裏に蘇る。



「……ははっ」



再びパーカーを羽織って、1人で思い出し笑い。


残念だったね~、春ちゃん。


駅まで送るって言った俺を制止して


誰かに見られたら大変だからって、1人で帰ったのに。


どうせ見られてたなら、手ぇ繋いで堂々と歩けば良かったな。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ