春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第11章 どうしようもなく、惹かれる心
「………おい」
突如
頭の後ろから、震えあがるような低い声。
そして、次の瞬間
~~~ドガッッ……!!
「………ぐはっ……!!」
「~~~~!?」
黒革のショートブーツが、私の顔のすぐ右側に見えて
芹澤さんの左肩を、後方へと蹴り飛ばした。
私を押さえつけていた体が、数メートル先へ吹っ飛んでいく。
「………っ」
一瞬の出来事すぎて、唖然として声が出ない。
首だけ起こして、うずくまる芹澤さんを目で追うと……
「……春菜」
私のすぐ横にしゃがんで、腕を伸ばして
……逞しい腕で、ゆっくりと起こしてくれる。
射し込んでくる夕陽によって、その顔が逆光でよく見えないけど
私の名を呼ぶその低い声は……
「……遼くん……?」