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春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第11章 どうしようもなく、惹かれる心


まるで犯人を確保した刑事のように、山田さんは高々と声を上げて


項垂れる芹澤さんは両腕を社員達に抱えられるようにして、ずるずると引きずられていく。


さっきまで笑っていたその顔は真っ白で、意気消沈。


目の前を通り過ぎる様子を、放心したまま見上げていると




「………芹澤」




芹澤さんに背中を向けたまま、遼くんが口を開いた。




「俺は、お前を許さねぇからな」




ゾクリとする低い声。


芹澤さんの額にも大量に汗が噴き出ている。




「デザインを盗んだ事じゃない」

「………!」

「そんなのはどうでもいい」




……え……?


その言葉に驚いて、遼くんに視線を移すと……




「てめぇが今ここで春菜にしたことを、俺は一生忘れない」


「…………っ」


「今後、もし同じように近付いたその時は……覚悟しとけ」




全身から怒りのオーラを放出させて


今まで見た事ない怖い顔で


遼くんは振り返ると、芹澤さんを真っ直ぐ見上げた。




「死にたくねぇなら今すぐ消えろ。

……二度とその姿を見せるんじゃねぇぞ」


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