春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第11章 どうしようもなく、惹かれる心
ぐわっと……全身が発熱したような……稲妻に打たれたような感覚。
……な、にが……起きているの?
誰もいなくなり、静けさが戻った狭い路地。
太陽の光がキラキラと降り注ぎ、遠くで聞こえる車のクラクション。
……感じるのは
抱きしめられる力強い腕と
右胸に伝わる、遼くんの鼓動。
「……りょ、うくん……」
放心したまま、掠れ声で彼の名を呼ぶと
「……っ 春菜……!」
「………!」
「お前、大丈夫か!?」
背中に回っていた手は、私の肩へ移動して
すぐにバッと体を離されて、遼くんと視線が重なった。
………額から伝う、一筋の汗。
よく見ると、首筋にも細かい滴がついている。
「……はぁ…っ 悪い…
宮本の電話で、タクシーすっ飛ばして来たんだけど」
「………!」
「途中渋滞しやがって……橋の手前から走ってきて……」
「………」
私の頭に付いた埃や砂を、右手で払いながら
遼くんは息切れをして、なんとか話を続けている状態。
……こんなに落ち着きが無くて、焦ってる遼くん
初めて見る……