春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第11章 どうしようもなく、惹かれる心
「春菜、本当に大丈……」
「大丈夫じゃ、ないです」
「………!」
放心したまま、やっとそう呟くと
遼くんは眉間に皺を寄せて、私の手を強く握った。
「……何された?」
「………っ」
今更ながら、体の震えが止まらなくなってきて
目頭が熱くなって、遼くんを見つめると
遼くんは苦しそうな表情を浮かべる。
「クソ、あの野郎……!
やっぱりぶっ飛ばして……」
「……違うの。
わ、私じゃなくて……」
「………!」
「遼くんの、シングルソファが……っ」
遼くんの黒ストライプのシャツを、片方の手でぎゅっと掴んだけど
体に力が入らなくて、再びぺたんと地面に座り込んでしまった。
「……春菜……」
袖で額の汗を拭うと
遼くんも私の前に胡坐をかいて、腰を下ろした。