春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第11章 どうしようもなく、惹かれる心
「……でも、遼くん……どうしてここが……」
首にIDカードをぶら下げたままだ。
私の視線に気付いて、遼くんは苦笑いを浮かべる。
「俺の携帯に宮本から一報が入ったんだ。
“ 蓮見が芹澤らしき男を見た ” って」
「………!」
「もう見えなくなったけど、妙だから念の為確認した方がいいって。
なんとなく俺も胸騒ぎがしたから、すぐに会社を出て……」
……山田さんとの商談中、携帯の電源をOFFにしてたから気付かなかったけど
さすがに○○木工に直接電話することはできず、遼くんはタクシーの中から何度も私の携帯にかけていたらしい。
その途中で、企画部の先輩から遼くんの携帯に連絡が入ったそうで……
「不自然に切れたって聞いて、すぐに山田さんに電話をしたら
お前が血相を変えて出ていったって聞いて」
「………!」
「ラフ画を見てからって言葉で、ピンときたよ。
すぐに部長に連絡して、そこから全力で走ったんだけど……」