春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第12章 春の嵐
ユキが指定してきた場所は
会社と私のマンションの中間くらいに位置する、人が多く集まる駅。
緑も多いお洒落な街で、入り組んだ細い路地を進めば
小さい公園やカフェなんかも多く点在する。
今まで、この街に2人で来たことは無い。
「紹介しようと思って」
青信号になったと同時に、ユキが歩き出した。
………?
その後に続きながら、首を傾げる。
「紹介?」
「うん、俺の家族にね」
「……え!?」
……い、今
なんて言った……!?
「か、か……?」
「家族」
「~~~!!」
驚き過ぎて、横断歩道を渡りきった所でフリーズしてしまう。
そんな私に、ユキは肩を竦めて振り返った。
「だって俺、彼女が出来たって言っちゃったんだよ」
「……へっ!?」
「もうフラれたなんて言ったら、カッコ悪いじゃん」
「~~~~!」
ニイッと口角を上げて、あどけない表情でユキが笑う。
「だから、今日だけ付き合って♪」