春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第13章 2人の秘密
「…………!」
な、に……してるのって……
それは私の方が聞きたいし
そんな、普通に聞かれても……
「……遼くん……」
もっと派手にひっくり返る程に、驚いてもいいはずなのに
いや、それ以上に衝撃すぎて、唖然としてしまってるのかもしれないけど
……不思議そうに、私を見下ろす遼くん。
その姿を見て、再び言葉に詰まってしまった。
「…………」
会社は私服出勤で、特に規則もなく自由だけど
Tシャツだけとか、シャツ1枚とか
拘りのない彼の服装は、いつも至ってシンプルなものばかり。
だけど、今私の目の前に立つ遼くんは
赤と黒のボーダーTシャツに
高そうなテーラードジャケットを羽織っている。
下はオフホワイトのクロップドパンツ
日焼けした足首には、シルバーのアンクレットまで付いていて
……まるで、デートをする時のように、全身お洒落な格好。
本当に、遼くんなの……?