テキストサイズ

春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第13章 2人の秘密


悪戯っぽく笑うユキを見て、ぎゅっと胸が締め付けられる。


私達3人がここに揃うこと自体、パニックを起こしてしまう程の衝撃だし


場所が場所だから、重苦しい空気になりそうなのに


ユキの軽快な言葉で、やっと胸の動悸が治まってきた。



「……雪斗。
お前、俺と同じ美大に行ってんの?」



遼くんが聞くと、ユキは溜息をついた。



「いやいや、何を今更。
母さんから聞いてたでしょ」

「あー……そうか。
去年高校卒業したんだよな」



遼くんは思い出したように頷くと、ユキの方へ足を進めて


持っていた花束を、白みかけ石で出来た外柵の上に置いた。




「………っ」




……遼くんと、ユキが……


会話をしている………




花束の包みを解く遼くんと、その手元を見つめるユキ


見た目も真逆、歳も離れた2人が


同じ空間にいて、私もその中にいることに


ただただ唖然としてしまって、見つめることしかできない。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ