テキストサイズ

春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第13章 2人の秘密


「会社では、部長と宮本にだけしか言ってない」


「………!」


「部長は、定期的に話題を出してくれるし

宮本は周りをよく見て

俺のいない所でも、うまく演技して対応してくれている」


「………っ」


「……全部、俺の我儘な要望だ」




“ 愛妻家のお前が珍しいな。
奥さん、家に待たせていいのか? ”



“ ……見捨てないでやって。
ただ、傍に居てやるだけでいいから ”




送別会の時、顔を赤らめながらも、どこか寂しそうな表情だった部長


車の中で、真剣な瞳で私に告げた宮本さん


今になって、知らなかった彼らの背景が見えてきて


ぐわっと……心臓を掴まれた感覚。




「……りょう、く……」




何も言わずに、ユキが再び歩きはじめると


私達に向けて


遼くんは、指輪が光る左手を上げた。





「だから、春菜も

胸の内にしまっておいて」



「………っ」



「俺と雪斗の、秘密なんだよ。

……頼むな」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ