春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第15章 少しだけ
「……やっぱり、思い出すわ」
「………!」
ふと、遼くんが口を開いた。
その言葉に、ドクッと心臓が跳ねて顔を上げる。
「俺がまだハタチかそこらで、お前が入学してきた時」
「………!」
「人の作品の前で、微動だにせずに見入ってた春菜の後ろ姿。
なんか、昨日の事みたいに浮かんでくる」
飛行機を見ていたから、奥さんのお話になるかと思っていたのに
私の名前が出てきたことに、さらに鼓動の速さが増してきた。
「その後もお前は俺の後ろをちょろちょろと、しつけーのなんのって。
パパラッチ並みに取材してくるし」
「………!!」
「次はどんな作品ですか? 今何を考えてますか? 今日はどこ行くんですか?って。
後半全然関係ねぇだろって、毎回突っ込んでたよな」
「~~だ、だって!///
目を離すとすぐどっかに行ったまま帰ってこなくなっちゃうから……」
「なんだそりゃ。
お前は俺の飼い主か?」
「~~~っ///」