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「……遼くん……」



そっと手を伸ばして、尖った髪に触れようとした時



「………！」



私の体に回していた腕を解いて、遼くんはゆっくりと頭を起こした。


見上げられた瞳と、バチッと視線が重なると



「……はは、危ね」



小さく笑って、両手を上げて降参のポーズを取る。



「……遼くん……？」

「駄目だな、 “ やっぱり ” 無理だ」

「………？」

「誰よりも俺を理解してる、宮本の助言だけど
……俺は、外せない」



なぜか、宮本さんの名前が遼くんの口から飛び出して


“ 外せない ” と言った、その言葉の意味が分からなくて首を捻ると


遼くんはいつもの表情に戻って、花壇から立ち上がった。



「悪い、今のは忘れて」

「………」

「あと、雪斗には内緒な。
殺されちまう」

「………！」



……ドクンと、心臓が大きく跳ねる。


固まった私を見て、遼くんはニッと笑って白い歯を見せた。